【感想】昨夜のカレー、明日のパン 木皿泉
「人は変わってゆくんだよ。それは、とても過酷なことだと思う。でもね、でも同時に、そのことだけが人を救ってくれるのよ」
変わらないものが欲しい、そう思う一方で、これもまた真実だよなあ、と思う。
自分の意思で変わっていけるのは、きっと安心して自分を変えてゆけるような、揺るぎない日々の暮らしが根底にあるからだ。ただ食べて眠るだけではない生活。
もちろん自分の意思に反して変わらざるを得ないことだってたくさんあって、そんなときにも地に足のついた暮らしはきっと人生を支えてくれる。
情けなくても、カッコ悪くても、一生懸命に、丁寧に生きることの尊さ。
読みながら、ふわっとした居心地のよさと、足湯につかっているような温かさに包まれていた。
数年前に途中で中断してしまい、今回最初から読み直してようやく読了。
やっぱり木皿作品好きだなあ。
「昨日のカレー、明日のパン」木皿泉 2013年
- 作者: 木皿泉
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/01/07
- メディア: 文庫
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